バウハウスは1979年にデビュー。
バンド名は1919年に創設されたドイツの造形学校「バウハウス」に由来。
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当初「バウハウス1919」という名前から直ぐに「バウハウス」に改名。
1979年8月にシングル「ベラ・ルゴシズ・デッド」をリリース。
この曲は9分以上にわたるナンバーで、ドラキュラを演じた名優として有名な「ベラ・ルゴシ」の事を歌っています。
ちなみに、名優ベラ・ルゴシはこんなイメージ。
■アルバム
・In The Flat Field(4AD)1980年
・Mask(BEGGARS BANQUET)1981年
・The Sky's Gone Out(BEGGARS BANQUET)1982年
・Burning From The Inside(BEGGARS BANQUET)1983年
・Go Away White(IMPERIAL RECORDS)2008年
1980年にデビューアルバム「暗闇の天使」をリリース。
1曲目「ダーク・エントリーズ」から最後の曲まで凄まじい緊迫感とエネルギー!
ピーター・マーフィーのバンドイメージを決定つける印象深いオカルティックな
アクションとダークなボーカル。
デビッド・Jの曲をリードするギターリフの様なベースライン。
ダニエル・アッシュの空間を切り裂くような、
ノイジーで爆発的なエネルギーを秘めたギター。
ベース&ギターと併せてドラムのケビン・ハスキンスが生み出す
疾走感のあるバンドアンサンブル。
とてもデビューアルバムとは思えない凄い内容で、
バウハウスの全てがこのアルバムに全て集約されていると言ってもいいかな。
その後も1981〜1983年とアルバムを発表していくものの
ピーター・マーフィーの脱退により解散。
セカンドアルバム以降や解散後の活動も含めて、注目すべき楽曲はあるものの
トータルでのアルバムの完成度やクオリティは個人的には
やはりデビューアルバム「暗闇の天使」が一番好きかな。
その後は、1998年に一時再結成、2005年にライブのために再結成、
2008年に再結成して25年ぶりに新アルバム「Go Away White」をリリース
・・解散。と再結成〜解散を繰り返しています。
彼らは、パンクロックの波の後に、ジョン・ライドンがPILで実験的な音楽を作り始めたいわゆるポスト・パンクといわれる流れの中で登場し、まさに・・これまでに無かった個性的な音楽と存在感を示していきました。
一方で、デビッド・ボウイの「ジギ―・スターダスト」、T.REXの「テレグラム・サム」、イーノの「サード・アンクル」などのカバーもオリジナルとは違った魅力を引き出しています。そういった経緯もあり、「ネオ・グラム」とも呼ばれました。
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■ラストアルバム「Go Away White」発売後、ダニエル・アッシュインタビュー
※参照:DOLL 2008年5月号 インタビュワー 安部薫、翻訳 川原真理子より一部抜粋。
●これだけ長い間魅力が持続したのはなぜだと思いますか。
・本物だからだよ。僕たち以前のバンド、The Velvet Undergroundなどをみてみたまえ。彼らは当時のトレンドなど追っていなかった。
●本物の音楽だけが残るというわけですね。
・そうだね。50年代に始まったロックンロールだって、本物はいまだに輝きを放っている。リトル・リチャード、エルヴィス・プレスリー、ジェリー・リー・ルイスはいまだに素晴らしい。本物だからだ。
●83年以来のニューアルバムですから、20年以上のブランクがあったわけですが、四半世紀を過ぎてもなおBauhausの音楽の核は移動しないことを実感できました。ご自身ではそのような音楽の核をどのようにとらえているのですか。
・今回のアルバムの核は、ファーストアルバムの核とよく似ていると思う。レコーディングの仕方も似ていて、いたってシンプルにやったし、時間もそれ程かけなかった。
・ファーストアルバムは14日間、今回は18日間だったから、この2枚のアルバムの作業の仕方はとてもよく似ていたんだ。
●活動期間の中で、最も刺激的だったのはいつ頃だったのでしょう。
・一番の思い出は、バンドを始めてからまだ4週間くらいしか経っていなかった時に「Bela Lugosi's Dead」が出来たことだね。
地元からちょっと出たところにあるちっぽけなスタジオであれをレコーディングした時のことを覚えているよ。すぐレコーディング出来たんだ。
・スタジオ入りする前の晩に曲を作ったんだよ。すごく早い仕上がりだったんだ。完成すると僕はトイレに行ったんだけど、スピーカーから音が流れているのが聴こえてきた。部屋の片隅にある、ちっちゃなトランジスターラジオスピーカーだったけど、それでもすごくいい音がしたんで、「これだ、これはイケる!素晴らしい。本物のレコードだ」と思った。それが、僕にとって一番のバンドの思い出だね。
●今後アルバムのサポート・ツアーの予定がないと聞いて残念なのですが、「Go Away White」はBauhausにとっての本当のラスト・アルバムになってしまうのでしょうか。
・本当にそうなると思う。そういう気がしているんだ。一巡した気がしているからね。ファースト・アルバムから今回のアルバムまでで全てやり尽くされたと思う。全員がそういう気持ちでいると思うんで、そういう結論に達したんだよ。
●あなた自身、The Clashからの影響は。
・このバンドはThe Beatlesと、パンク・ムーブメント全般と、サイケデリアにすごく影響されている。あと、70年代初めのグラム・ロックにね。僕は、いまだにあの手の音楽が大好きなんで、そこからの影響は多々あるよ。
・パンクがなかったら、僕たちは今こうして音楽をやっていなかっただろう。単に夢見るのではなく、生計を立てるために音楽をやってやろうという自信を僕たちに持たせてくれたのはパンクだったんだから。僕たちと同じくらいの腕しかない連中がプレイしているのを観たからだ。
・僕たちも含め、誰もうまくなかったんで、そんなパンクバンドがテレビに出ているのを観てインスパイアされたんだよ。「俺たちにも出来る!」という自信を与えてくれたんだよ。
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彼らがロック界に残した影響は大きく1982年頃に勃発したポジティブ・パンクムーブメントや、ゴシック・ロックと呼ばれているジャンルのミュージシャンは彼らの影響をなんらかの形で継承していると思われます。
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また日本のミュージシャンへの影響も大きく、同時期にいたジャパンと共に、そのビジュアルやサウンドに影響を受けたミュージシャンは次々と登場しています。
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■2011年5月ピーター・マーフィーインタビュー(参照CD JOURNAL ソロ『ナインス』を完成後のインタビュー)
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/peter-murphy/1000000628
――自分を解放して歴史を取り戻したいと思うようになったのは、2度の再結成ツアーを経て『GO AWAY WHITE』を発表し、バウハウスに終止符を打ったことに関係しているのでは?
「その通り。これまでソロのライヴでバウハウスの曲を歌わなかったのは、バウハウスのオーセンティックさを守りたかったからで、僕はあのバンドの最大の擁護者であり、再結成を主導したのも僕だった。
でも活動を再開してみると、結局1983年の解散の理由になったさまざまな問題がまたもや目の前に立ちはだかったんだ。挙句の果てに悟ったよ、バウハウスの動力源は僕なんだってことをね。
そして『GO AWAY WHITE』も僕がリードして作り始めた作品で、一旦作業を始めると勢いがついて、ミックスも含めて18日間で完成に至った。その勢いが、行き場がないまま僕の中に残っていて、今回のアルバムへと引き継がれたのさ。
だから、僕自身がバウハウスそのものなんだと悟った今は、遠慮なく昔の曲を歌っているよ(笑)」
■アフターBAUHAUS
バウハウス解散後、ピータ―・マーフィー、デヴィッド・J、ダニエル・アッシュ、ケヴィン・ハスキンスらは、それぞれのソロ・プロジェクトを開始しました。
ピーター・マーフィーは、JAPANのベーシストのミック・カーンと組んで1984年にダリズ・カーを結成し、「The Walking Hour」を発表します。
まさに・・・バウハウス+JAPANという非常に個性的なサウンドが炸裂しています。
*ミック・カーン
https://ukrock1977.work/article/222754079.html
強烈な個性を持った二人であり非常に面白い作品でしたが、残念ながらミックとピーターがソリが合わずアルバム一枚を残して自然消滅。
ところが2010年に、ダリズ・カーが再始動しアルバム制作を始めるという驚きのニュースが飛び込んできました・・・
仲違いしていた二人が再接近し、約30年近くの年月を経て2012年、ミック・カーンの遺作となった「InGladAloneness」をリリース。
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ダリズ・カーが空中分解し、1985年頃にニュー・バウハウスという話もありましたが、ソロ活動を準備していたピーターはこの話にはのりませんでした。そのため残った三人によって誕生したのがラヴ&ロケッツでした。
ラヴ&ロケッツは、バウハウスのダークで実験的な的サウンドばかりではなくPOPなメロディーとサイケデリックな要素を盛り込んだサウンドは、面白いことに最初カナダから人気が広がっていき、アメリカでも受け入れられるようになりました。
1986年のセカンド・アルバム「エクスプス」はチャートの上位にランクインしバウハウスでは成し遂げなかったアメリカでの成功も手に入れます。
さらに1989年に出した4枚目の「ラブ&ロケッツ」も大ヒットします。
・SEVENTH DREAM OF TEENAGE HEAVEN (1985)
・EXPRESS (1986)
・EARTH, SUN, MOON (1987)
・LOVE AND ROCKETS (1989)
・HOT TRIP TO HEAVEN (1994)
・SWEET F.A. (1996)
「5 Albums」はレア音源を収録したCD5枚組ボックスセット
また、ダニエル・アッシュとピーター・マーフィーのその他の作品も秀逸です。
■ピーターマーフィー
・Should the World Fail to Fall Apart(1986年)
・Love Hysteria(1988年)
・Deep(1990年)
・Holy Smoke(1992年)
・Cascade(1995年)
・Recall EP(1997年)
・Wild Birds: 1985-1995(2000年、コンピレーション・アルバム)
・A Live Just for Love(2001年、ライヴ・アルバム)
・Dust(2002年)
・Unshattered(2004年)
・Ninth(2011年)
・Lion(2014年)
・BARE-BONED & SACRED(2017年)